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【結論】賃貸 vs 持ち家、どっちがおトク?

夢のマイホーム購入と、一生賃貸で自由に住み替え。どっちが正解なの?
延々と続く論争ですが、一般庶民にとって本当におトクな選択はどちらなのでしょうか。「お金」の視点と「幸福度」それぞれの視点で、定量的・定性的に考えてみたいと思います。

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お金(定量的)の観点

賃貸のメリット

最大のメリットは、多額の借金をせずにすむことです。大きな借金を背負ってまでマイホームを購入するリスクは負わない。日本の将来や景気の先行きが決して明るくない状況の下でも、将来の収入の増減や家族構成、また通勤・通学などのライフステージの変化にあわせて適切な家賃=コストにコントロールできること、が挙げられます。

持ち家のメリット

誰か他人を儲けさせるためにお金を払う必要がない、支払うお金は自分の資産=持ち家の購入のため、という点です。住宅ローンを組む場合には、物件の購入金額だけではなくもちろんローン金利の支払いが必要です。ただし、もはや20年に渡る超低金利時代、また政府による住宅ローン減税などの措置もあり、金利の負担は大きくありません。4,000万円を金利0.7%で35年間で返済した場合、支払い総額は4,500万円程度になりますが、このうち300万円強は住宅ローン減税で還付がありますので、実質金利への支払いは200万円程度。支払額の5%程度が外部への支払い分、ということになります。

また老後、引退して収入が大幅に減った際にもローンが完済できていれば固定資産税(10万円/年程度)と必要最低限の修繕費(マンションであればプラス管理費)のみで住み続けられるため、老後の最低限の収入でも赤字にならずに生活していくこともできるでしょう。

賃貸のデメリット

 賃貸=借り家ですので、借り物である以上、住んでいる間ずっと家賃を支払い続ける必要があります。定年退職後に少ない年金の中から、例えば毎月夫婦で住む1LDKに10万円程度の家賃を払い続ける、というのはなかなか大変です。現役時代に貯めた貯金を切り崩しながら、いつか貯金が底をついてしまうかもしれない恐怖に怯えながら生活しなければいけない、という可能性もあります。

また、家賃=大家さんへの支払い(大家さんの収入)であり、つまり賃貸住宅、というビジネスを営んでいる誰かの儲けのためにお金を払っている、という構造でもあり、その誰かの商売に利益を提供している、つまり自分の利益を損ねている、という考え方もできます。賃貸経営の教科書のようなものを見ると、賃貸経営の利回りは最低7〜10%は確保すべし、というセオリーもあるようですので、全く同じ価値の物件に賃貸で住む場合、持ち家に対して7〜10%余分にお金を支払っている、とも言えるかもしれません。

持ち家のデメリット

持ち家最大のデメリットは、多額の借金を背負うこと、です。マイホーム購入は数千万円の買い物であり、一部のお金持ちや多額の遺産などがない限り、庶民は借金をして家を買うことになります。多額のローンが残っている状態で病気やリストラで収入が大幅にダウンした場合、ローンが支払いきれず家を売却しなければいけない、というリスクを抱えることになります。ただしローン債務者の死亡や、最近では各銀行・保険会社の競争の中で存命中でもガン診断をされれば保険によりローンが完済されるような商品も出てきており、一定のリスクヘッジはできるようにはなっています。

賃貸 vs 持ち家支払い総額シミュレーション比較

 前提条件
・30歳から80歳までの50年間のトータルコストで計算。 
・居住エリアは、最近住みたい街ランキングでも上位にランクインする埼玉県の「大宮」。東京からは離れますが、新宿まで埼京線で30分で通勤できることもあり、東京都内に通う会社員も多く住むエリアを参考。
・家族は夫婦+子供1人
・賃貸は子供が独立するまでの25年間2LDKマンション、その後25年間は夫婦のみで1LDKマンションに居住。持ち家は2LDKマンションを購入した場合

【賃貸の支払い総額】

6,300万円
2LDK家賃相場12万円×25年間 + 1LDK家賃9万円×25年間)

【持ち家の支払い総額】

 ・5,900万円
2LDKマンション購入価格4,000万円 + 20年ローン平均1%金利400万円 + 管理費修繕積立金2.5万円×50年間で1,500万円 - 住宅ローン減税40万円×10年間の400万円 + 25年経過時点で水回りを中心にリフォーム400万円相当を実施)
※住宅ローン、というと30年とか35年というイメージがありますが、統計によると住宅ローンを組んだ人の完済期間は繰り上げ返済も含め、実は15年以下が平均だそうです。

(シミュレーション結果)
今回のシミュレーションでは、なんと支払い総額で400万円の差がついてしまいました。この差分が賃貸のデメリットとしての大家さんの儲けのための支払い分、ということなのかもしれません。

ぜひ一度不動産サイトで自分の住みたい場所、エリアでの賃貸と購入物件の比較をしてみて下さい。(いろいろ使ってみましたが、やはりSUUMOがデータ量と見やすさ含め一番です)

suumo.jp

 

幸福度(定性的)の観点

賃貸のどこに幸福を感じる?

 ・定期的に住み替えをすれば、常に新しい快適な家に住むことができるということ

・ご近所付き合いのトラブルなどがあった場合にも、引越してしまえば環境のリセットができる

これらに共通するのは、固定された場所や人間関係に縛られることをストレスに感じるタイプの人が、そこから自由でいられることに幸福を感じられる、という観点ですね。

持ち家のどこに幸福を感じる?

・何かあったときにも持ち家があればなんとかなる、という安心感
ローンを組んでいる家庭で万が一稼ぎ頭の父親に不幸があった際にも、一般的には団体信用保険などでローンが一括返済できる、というリスクヘッジもできます。

・「所有欲」を満たすことよる精神的充足
科学的根拠があるのかわかりませんが、日本人はどうも土地信仰も含め、「所有欲」とその所有から得られる精神的な満足が他の国・民族よりも強い気がします。その観点では「家を買う」というのは人生で最大の買い物というだけあってこれ以上なくその所有欲を満たしてくれるものであるのは間違いないです。

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結論!賃貸 vs 持ち家、どっちがおトク?

このように当然ながら一長一短はありますが、支払い総額の差において400万円、また幸福度においても老後含めた生活の安心感なども含めると、今回の考察の結論としては、持ち家が有利、というのが一旦の見解です。
ただ、個人の考え方としてリスクのある大きな借金は背負いたくない、住む場所も縛られず自由でいたい、という人は必ず一定数いるでしょうし、そういう人はどんな数字や考え方を示されたとしても賃貸を選ぶと思いますので、やはり人それぞれの価値観による、と言わざるを得ないかもしれません。